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今年の NASWA Winter SWL Fest (1) [番外編]

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今年も NASWA (北米短波連盟)主催の Winter SWL Fest がいつものペンシルベニア州プリマスミーティング市にある Double Tree ホテルで開催されました。 今年は30回記念ということでいつもよりも1日多い 3月2~4日の3日間です。 私は3日間のフル参加、今年も日本から来られた JSWC の大武理事は後半のみのご参加でした。 

家から車で2時間程度の便利な場所。 Winter SWL Fest もこれで4回目の参加です。 昨年の Fest ではディナーの時に隣に座った人から 「一度日本の事情も話してくれないかなあ」 と言われ、今年は30回記念で JSWC としてもずっとブースを出しているわけだし、さすがにそろそろ日本からも出し物をした方がいいんじゃないのと思っていたところでした。 特に1970年代の BCL ブームは世界的に見ても特異なことだろうし、日本製の高性能受信機がいつも表に出るのに実際の SWL の現状を知ってもらう機会はあまりない..

ということで、今年は思い切ってフォーラム講演を申し込むことにしました。 大武理事とも相談して JSWC を代表してという形をとらせていただき、「SWLing in Japan - Past, Present, and Future (日本のSWL事情:過去・現在・未来)」 と題して講演。 とは言っても実際は私自身の体験話を勝手にするだけです(笑)。 内容の独断と偏見はどうぞご容赦を...。

今回のフォーラムは自分のも含めると17演題。 いつもなら興味あるのを聴いてこのブログでレポートするのですが、自分の講演の準備をぎりぎりまでしていたのと、また今回はどちらかというとブースに滞在して雑談を楽しむことを主体にしたので実は他の人の講演はあまり聴いていません。 発表テーマについてはこちらをご参照ください。

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日本の講演は3日目のトップでした。 はじめに大武理事がご自身の経歴や当時 VOA や BBC で英語を習得されたエピソードなど、そして JSWC の沿革について説明をされました。 その後は私のプレゼンテーション。 全部で1時間みっちりの講演となりました。

私が話した内容はだいたい以下のような感じです。

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講演内容要旨
SWLing in Japan - Past, Present, and Future
(日本のSWL事情 - 過去・現在・未来)
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こんにちは。 私は現在仕事で米国と日本を行ったり来たりしていますが、初めて短波と出会ったのは小学生の時、親から買ってもらったラジカセにたまたま短波帯が付いていたことでした。 ちょっとダイアルを動かすと音が飛んでしまい、なんて不便なんだろうと思ったのですが、日本語放送でモスクワとか北京とか遠くの放送が聞けるのにびっくりしたのがきっかけです。 大武理事と同様、私も短波受信で外国語を学んだようなものです。 だって当時の日本の英語の教科書で最初に習う文は 「This is a pen.」 なんですよ。 私はこの文をこれまで一度も会話で使ったことはありません (会場笑)。 ちなみに2番目の文は何だと思いますか? 「This is a pin.」 だったんです (会場爆笑)。 いかに当時の英語教育がヘンだったかお分かりでしょう。 反対に米国でもちょっと気になる日本語が時々見られます。 Tsunami はいいとして、Teriyaki や Hibachi はちょっと元の意味と違うみたいなんですけど。 あ、そうそう Karaoke のoke は英語のオーケストラから来ていることはご存知でしょうか。

電気関連の日本語といえば Radio はラジオ、Antenna はアンテナと英語がベースですが、Shortwave はフロリダ州の都市の名前と偶然同じタンパ (会場笑)。 ホーソーってわかりますか? Boadcasting のことです。 NHK は何の略か覚えてくださいね。 ちょっとおかしな言葉としてパソコン...これは Personal Computer から来ています。 面白いでしょ。  最近の極めつけは 「スマホ」 です。これって何かわかりますか。 Smart Phone ですよ (会場驚愕)。 言葉って面白いですね。 なぜこのような話をしたかというと、実は日本には独特の SWL の専門用語が2つほどあるんです。

一つは 「BCL (Broadcasting Listener)」  という言葉。 まあだれもがテレビやラジオを聴取するでしょうから普通の人は皆 BCL になってしまうんですけどね。 でも日本ではこの BCL という言葉が米国でいう SWL とほぼ同じ意味で使われるんです。  それから 「ベリカード」 っていう言葉があります。 「ベリ」 って Verification から来ているんですよ (会場大ウケ)。 これはご想像の通り QSL カードのことなんです。

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1970年代半ばから1980年代にかけて、日本ではBCL ブームとなり、その中心となる世代は当時の私のような中学生でした。 どうもラジオメーカーのマーケッティング戦略が発端ではないかと思っています。 その土台として深夜放送ブームなるものがあり、皆夜になると遠方の放送が聞こえることは経験していました。 各メーカーからBCL ラジオと称するものが続々発売されました (ラジオの写真見て会場から歓声)。 ラジオの専門誌でなく一般雑誌にも受信報告書の書き方が載ったりして、学校ではクラスメートがQSLカードを持ち寄り見せあったりしていました。 地方で開かれたイベントには1000人もの参加者、その殆どが中学生。 HCJB はピーク時には年間6万通、ラジオオーストラリアに至っては月2万通の手紙を日本から受け取っていたそうです (会場驚愕)。 日本短波放送 (NSB) などからは各ラジオメーカーの提供でBCL番組がほぼ毎日のペースで放送されました。 毎日ですよ! ユニークなのは有名なアニメ声優が番組ホストをしていたことです。

この時期に日本BCL連盟が設立。 私はてっきりブームのおかげで設立されたと思ったのですが、実際ブームは偶然だったのだそうです。 ブームのおかげで会員数は一気に伸び、そしてブーム終了と同時に会員数が激減、再編成を余儀なくされやがてフェードアウトとなってしまいました (会場から惜しむ声も)。  BCL 関連の雑誌や専門書も沢山出版され、またその時のライターをつとめてられていた(故)山田耕嗣さんという 「BCL の神様」 と呼ばれている方がいます (会場驚愕)。 その方の誕生日が現在 「BCL の日」 とされていて、短波放送局で特別番組も放送されます。

最近の日本の BCL (SWL) 活動事情ですが、ブーム当時の短波ファンが徐々に戻ってきているようです。 全国区のJSWC のほか、名古屋のNDXC や横浜の TDXC といった地方グループもアクティブです。 TDXC は年刊のPropagation 誌の発行(ブースにあります)や、中波DXを中心にペディションなどの活動をしています。  また個人でもアクティブに活動されている方が沢山います。 たとえば青木茂紀さん。 苗字のAoki を見てピンとくるかと思いますが、有名な Aoki List の作成者。 リストの情報は実際に受信して確認することをポリシーとされ、そして何と更新はほぼ毎日。 作業はすべてお一人でやられているそうです (会場驚愕)。 また比較的若手では関山さんが 「BCLは趣味の王様」というサイトを立ち上げ、秋葉原BCLクラブやミーティング、KTWR 同時チャットのようなユニークな活動をされています。 数少ない英語サイトとして小松原さんの「Now On The Radio」 という日本最強のDXing ポータルサイトもあります。

私自身の活動も紹介しますと、音源クリップのブログをやっています。このホビーに久しぶりに戻ってきた時の印象ですが、何といっても昔にくらべてノイズがとても多いということですね (会場激しく同意)。 そこでノイズに強いループアンテナのお世話になるわけですが、Wellbrook 社製品の見積もりを見たらちょっと引けてしまい、個人ベースで開発されている影山さんの⊿LOOP とか、橋本さんの BCL-LOOP を愛用しています。 これらはブースでも展示していますので見に来てください。

日本最長の歴史を誇る JSWC も健在で、ハムフェアでブース展示やミーティング、また AWR の Wavescan でのレポートや特別 QSL の発行も行っています。 先日は HCJB のリスナーの集いもにぎやかに行われ、高校生リスナーも参加しています。 日本の SWL (BCL) 界の未来はブーマーの復活組、そして若手も必ずいるということに注目すれば暗いものではないと思います。

今後とも日本の BCL をどうぞ応援してください。 ご清聴ありがとうございました。

(講演終了)

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仕事でやるプレゼンテーションと違うのは、皆リラックスしているというか、講演中笑いはもちろん、驚いたりする反応とかよくしてくるのでとても楽しんで話ができたことです。 講演後、沢山の人たちから 良かったよ と声をかけていただき感激しました。

講演で寄せられた質問をいくつかあげると:

  • 日本にパイレート局はないのか。欧州のパイレートを狙うツワモノはいないか。 (海岸にビバレッジを張って狙っている方いますよね。某島根のDXer 様とか笑)
  • ソニーやパナソニックはラジオの博物館を所有していないのか。(ソニーは最近イベントとしてやってましたね)
  • 中波DXing のぺディとかは受信報告書をちゃんと出してるか。知ってる局の話ではフィンランドからしか届いていないと言っていたが。 (どうなんでしょう)
  • VHF-DXing ではどのエリアがよく聞えるか。 (Eスポで中韓露ですかね)
  • 昔さわった受信機でコバヤシというメーカーの AS-** というものがあったがとてもよい受信機だった。 もう作っていないのか。 (私は存じ上げてなく、後で聞いたら小林無線の AS-76 という受信機のようですね。 詳しい方いらっしゃいますか)
  • 当時日本短波放送 (NSB) 聞いていたら英語だったのだが、そのような番組やってたか。(おそらく百万人の英語か Tokyo Forum でしょうね)
  • 当時 サンフランシスコ KGEI の日本語放送が朝よく聞こえていたが、日本では夜の放送か。(そうそう、夜のいい時間に放送していて私もよく聴いてました)


質問はかなりマニアックでした(笑)

(次回に続く) 


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コメント 2

那須単身

毎度です。お疲れ様でした。「ブラボ~~♪」とスタンディング・オベーション!!!!!が鳴り止まなかったことでしょう☆☆☆次回の第二報も楽しみにしています☆☆☆
by 那須単身 (2017-03-10 11:52) 

kei@Niigata

那須単身さん、コメントありがとうございます。 あはは(笑)、でも家庭的な雰囲気のミーティングでしたよ。
by NY単身
by kei@Niigata (2017-03-10 20:49) 

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